
ガバメントクラウド認定CSP5社(2026年4月時点)を徹底比較。AWSが自治体シェア約74%を占める理由、およびAzure・OCI・さくらインターネット各社の認定状況と自治体選択のポイントをデジタル庁公式データで解説。
なぜAWSが圧倒的シェアを握るのか?ガバメントクラウドCSP5社を徹底比較【2026年最新】
ガバメントクラウド認定CSPは現在5社(2026年4月時点)です。Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、さくらのクラウドが、デジタル庁が定める305項目の技術要件を満たした正式な調達対象クラウドサービスです。
「ガバメントクラウドでAzureは使えるのか」「OCIとAWSのどちらが自治体向けか」「さくらのクラウドは国産というだけで選ぶ価値があるのか」――自治体のシステム担当者から寄せられるこれらの疑問に、デジタル庁の公式データと令和6年度検証事業の結果をもとに答えます。
ガバメントクラウドは、デジタル庁が調達・整備する政府共通のクラウドサービス利用環境です。地方公共団体は、このガバメントクラウド上に標準準拠システムを移行することが努力義務とされています(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、2021年施行)。
デジタル庁はクラウドサービス提供事業者(CSP)を年度ごとに公募・選定します。選定にあたっては、インフラ要件・セキュリティ要件・ガバナンス機能・マネージドサービス対応・IdP連携など305項目の技術要件の充足が求められます。
2026年3月27日にデジタル庁が公表した「令和8年度募集における審査結果」では、以下の5サービスが選定されました(デジタル庁 令和8年度審査結果PDF、2026年3月27日)。
これにより、令和8年度からは5CSP体制が正式に整いました。地方公共団体がGCInsightのクラウド別ページ(/cloud)で確認できる移行状況は、この5社を基準に集計されています。
下表は5社の認定状況・自治体での採用傾向・国産かどうかをまとめたものです。
| 項目 | AWS | Google Cloud | Azure | OCI | さくらのクラウド |
|---|---|---|---|---|---|
| 初回選定年 | 2022年 | 2022年 | 2022年 | 2022年 | 2026年3月(条件付き採択は2023年11月) |
| 令和8年度選定 | 選定済 | 選定済 | 選定済 | 選定済 | 選定済 |
| 国産 | × | × | × | × | ✓ |
| 自治体CSP選択率(令和6年度調査) | 約74% | — | — | 約26% | — |
| 主な自治体向けパッケージベンダー | TKC / NEC / 富士通Japan / 日立等 | NEC等(一部) | NECネクサソリューションズ等 | RKKCS / GCC | — (今後展開予定) |
| 305項目充足状況 | 全充足(2022年〜) | 全充足(2022年〜) | 全充足(2022年〜) | 全充足(2022年〜) | 全充足(2026年3月27日確認) |
「自治体CSP選択率」は、令和6年度ガバメントクラウド早期移行団体検証事業でデジタル庁が実施したアンケート調査(採用または採用を検討しているCSPを聴取)の結果です(デジタル庁 令和6年度検証事業報告書(基礎資料)、2026年3月)。Google Cloud・Azure・さくらのクラウドの詳細シェアは同調査で非公表。
デジタル庁の令和6年度検証事業において「AWSを採用または採用を検討している」と回答した地方公共団体は全体の約74%に上りました。ガバメントクラウドへの移行が本格化した2022年以降、主要な自治体向けパッケージベンダー(TKC、NECネクサソリューションズ、富士通Japan、日立システムズ、アイネス、両備システムズ等)の多くがAWS上にシステムを構築・移行しており、「ベンダーがAWSを採用しているから自治体もAWSになる」という構造が根付いています。
さくらインターネットの「さくらのクラウド」は、国内事業者として唯一ガバメントクラウドに採択されているCSPです。2023年11月に条件付き採択となり、2026年3月27日にデジタル庁から「すべての技術要件を満たしたことを確認できた」と公表されました。同日以降、本番環境の提供が可能となっています。
認定経緯の詳細は当サイトの「なぜさくらインターネットだけが国産でガバメントクラウドに選ばれたのか」(/articles/gc-sakura)で解説しています。
さくらのクラウドのデータセンターは国内に存在し、日本法人が運営します。外資CSPと比較して、以下の点で行政機関が重視する要件を満たしています。
令和8年度(2026年度)の検証事業公募において、さくらのクラウドを利用できるよう第二回公募で追加されました(デジタル庁 公式発表、2026年)。ただし、現時点で自治体向けの標準準拠システムパッケージが整備されているベンダーはほとんどなく、実際に基幹業務システムを移行できる状態になるにはしばらくの期間が必要です。
Azureは2022年にAWS・Google Cloud・OCIと同時にガバメントクラウドの最初の選定CSPとなりました。令和8年度においても引き続き選定されています(デジタル庁 令和8年度調達計画書、2026年3月)。
デジタル庁の令和6年度検証事業では、NECネクサソリューションズがAzureを含むマルチCSP構成(AWS・Azure)で検証を実施しました。自治体向けのAzure専用パッケージはまだ限定的ですが、WindowsサーバーやMicrosoft 365との親和性を活かした業務システムとの連携用途での採用が見込まれます。
現時点では自治体基幹業務の移行ベンダーがAWSに集中しているため、Azureの採用率はデジタル庁の公表データには明示されていません。しかし、WindowsをメインOSとして使っている自治体でのActiveDirectory連携・ハイブリッドクラウド構成での活用は今後増加することが予想されます。
デジタル庁の令和6年度検証事業アンケートでは、OCIを「採用または採用を検討している」と回答した地方公共団体は全体の約26%でした。外資4社の中ではAWSに次ぐ第2位のシェアです。
OCI採用の核心はベンダー構造にあります。RKKCS(株式会社RKKCS、本社:愛媛)と株式会社GCC(関連企業)が、OCIを基盤とした自治体標準準拠システムを提供しており、宇和島市(愛媛県)でのガバメントクラウド先行事業での稼働実績もこのRKKCSによるものです(RKKCS プレスリリース、2023年2月)。
RKKCSは2022年7月以前はAWSとの連携を発表していましたが(RKKCS AWS連携発表、2022年7月)、実際の自治体導入ではOCIを主基盤として展開しています。
令和6年度の宇和島市検証では、OCI・AWSマルチCSP環境でのコスト構造が分析されています。OCIはネットワーク送受信料が他CSPと比較して割安であり、共同利用方式での費用按分に適した構造を持つとされています(デジタル庁 令和6年度検証事業報告書、2026年3月)。
Google Cloudは2022年の初回選定から令和8年度まで継続的に選定されています。自治体基幹業務向けのパッケージベンダーはNECの一部等に限られており、現時点でのガバメントクラウド移行先としての採用実績はAWS・OCIと比べて少ない状況です。
一方、自治体のデータ分析基盤(BigQuery活用)やGemini/Vertex AI等のAI活用用途では、将来的な採用拡大が見込まれます。
自治体がどのCSPを使うかは、実質的には「選択した標準準拠システムのベンダーが何のCSPを使っているか」によって決まります。
flowchart TD
A["自治体が\n標準準拠システムを選定"] --> B{"ベンダーが\n利用するCSP"}
B --> C["AWS\nTKC/NEC/富士通Japan\n日立/アイネス/両備等"]
B --> D["OCI\nRKKCS/GCC"]
B --> E["Azure/その他\nNECネクサ等(マルチCSP)"]
C --> F["自治体はAWSを利用"]
D --> G["自治体はOCIを利用"]
E --> H["自治体はAzure等を利用"]
このベンダー主導の構造を踏まえると、自治体担当者が「AWSとOCIのどちらがよいか」を直接判断するケースは現状では少なく、むしろ「どのパッケージベンダーを選ぶか」が実質的なCSP選択につながります。
GCInsightのパッケージ一覧(/packages)では、各ベンダーが利用するCSPと対応業務をまとめています。
デジタル庁は令和6年度の検証事業でマルチCSP間通信(VPN経由でのCSP間直接通信)の技術検証を実施し、実現可能であることを確認しています。これにより、将来的には「基幹業務はAWSで移行済み、新規のAI活用サービスはGoogle Cloud」といったマルチCSP運用が自治体でも選択肢となってきます。
さくらのクラウドについては、今後ベンダー各社が標準準拠パッケージの対応を進めることで、国産データ主権を重視する自治体への採用が拡大する可能性があります。
移行状況・CSP別の都道府県・市区町村データはGCInsightダッシュボード(/)でご確認ください。
2026年4月時点では5社です。Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、さくらのクラウド(さくらインターネット)の5サービスが、デジタル庁の令和8年度募集における審査結果として選定されています。以前は外資4社体制でしたが、2026年3月27日にさくらのクラウドが全技術要件を充足し、5社体制となりました。
自治体向け標準準拠システムを提供する主要パッケージベンダー(TKC・NECネクサソリューションズ・富士通Japan・日立システムズ・アイネス等)の多くがAWSを基盤として採用しているためです。自治体はパッケージを選ぶ段階でCSPも実質的に決まる構造です。デジタル庁の令和6年度調査では採用・検討中の74%がAWSを選択しています。
はい、使えます。Azureは2022年の初回選定から正式なガバメントクラウドCSPです。令和8年度(2026年度)の選定でも継続して採択されています。現時点では自治体基幹業務向けのAzure専用パッケージは少数ですが、利用は可能です。特にWindowsサーバー・Microsoft 365・Entra IDとの統合が必要なシステムにおいて選択肢になります。
RKKCS(愛媛県の自治体向けパッケージ会社)とGCCがOCIを基盤とした標準準拠システムを提供しているためです。宇和島市でのガバメントクラウド先行事業での稼働実績もOCIを主基盤としたRKKCSによるものです。コスト面でもOCIはネットワーク費用が他CSPと比較して割安であるという検証結果があります。
インフラとしては2026年3月27日から本番環境の提供が可能となっています。ただし、自治体が基幹業務システムをさくらのクラウドに移行するためには、対応する標準準拠パッケージが必要です。現時点ではさくらのクラウド対応を宣言しているパッケージベンダーはほとんどなく、実際の移行が始まるまでには一定の準備期間が見込まれます。
デジタル庁のガバメントクラウド政策ページで最新の選定結果と各CSPの対応状況を確認できます。年度ごとの選定結果PDFもデジタル庁サイトで公開されています。
自治体のCSP別移行状況・ベンダーパッケージの詳細は以下のページで確認できます。
ガバメントクラウドへの移行を検討中の自治体担当者は、GCInsightダッシュボード(gcinsight.jp)で全国の移行状況・コスト事例・リスク情報を無料で確認できます。移行計画の策定やCSP選択の参考にご活用ください。
本記事の一次ソース
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