
デジタル庁が公開する政策ダッシュボード全20種を網羅解説。マイナンバーカード普及率79.2%、自治体DX進捗、ガバメントクラウド移行状況まで、自治体情報システム担当者が業務で活用できる読み方と実践ガイドを2026年最新データで提供します。
デジタル庁が公開する「政策ダッシュボード」は、行政のデジタル化状況を誰でもリアルタイムで確認できる可視化ツールです。2022年のベータ公開から2026年3月には統合・拡充が行われ、扱えるダッシュボードは20種を超えました。しかし、「名前は知っているが実務でどう使えばよいかわからない」という自治体担当者は少なくありません。
本記事では、デジタル庁の政策ダッシュボードの全体像を体系的に整理し、自治体情報システム担当者・DX推進担当者が今日から活用できる読み方と実践ポイントを解説します。
デジタル庁は「データと根拠に基づいた政策判断・効果の可視化を日本政府内で推進する」役割を担っています。その具体的な成果物が「政策ダッシュボード」です(出典: 政策ダッシュボード一覧|デジタル庁)。
政策ダッシュボードには2種類があります。
政策ダッシュボード(Policy Dashboard): デジタル庁が中心となり、行政手続きのデジタル化、自治体DX、準公共分野(医療・介護・教育)のデジタル化状況を可視化するダッシュボード群です。
Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード): 内閣府と協力し、GDP統計や都道府県・市区町村別の経済・財政・人口と暮らしに関する約700指標を提供するダッシュボード群です。2025年12月には市区町村データ(約300指標)が追加されました(出典: Japan Dashboard|デジタル庁)。
自治体情報システム担当者が特に注目すべきは前者の「政策ダッシュボード」です。自治体の移行状況・DX進捗・コンプライアンス状況を横断的に把握できるためです。
2025年3月末時点でデジタル庁の政策ダッシュボードは13種でしたが、2026年3月27日の統合・追加を経て現在は20種超が公開されています。以下に主要なものを分類して整理します。
| ダッシュボード名 | 掲載主要データ | 更新頻度 |
|---|---|---|
| マイナンバーカードの普及と利活用に関するダッシュボード | 保有枚数・保有率・健康保険証利用登録数・スマートフォン利用 | 週次 |
| 公金受取口座の登録状況に関するダッシュボード | 登録口座数・登録率 | 定期更新 |
| 自治体での子育て・介護関係の26手続のオンライン化に関するダッシュボード | 全国・市区町村別オンライン化取組状況 | 定期更新 |
| GビズIDの利用状況に関するダッシュボード | GビズID取得数・利用事業者数 | 定期更新 |
2026年3月27日、マイナンバーカードの普及ダッシュボードと利活用ダッシュボードが統合され、「マイナンバーカードの普及と利活用に関するダッシュボード」として一本化されました。スマートフォンのマイナンバーカード、マイナ免許証、JPKI(公的個人認証サービス)の数値も新たに公開されています(出典: マイナンバーカードの普及と利活用に関するダッシュボード|デジタル庁)。
| ダッシュボード名 | 掲載主要データ |
|---|---|
| 自治体DXの取組に関するダッシュボード | 全1,741市区町村のDX推進体制・業務DX・住民サービスDX |
| 自治体フロントヤード改革の取組状況に関するダッシュボード | 書かない窓口・予約システム・リモート窓口の導入状況 |
| 都道府県を中心とした地方自治体システムの共同調達に関するダッシュボード | 共同調達の実施状況・事例詳細 |
自治体DXダッシュボードは総務省のデータを元にデジタル庁が可視化したもので、CIO任命状況・AI導入状況・テレワーク導入状況・マイナンバーカード保有状況・26手続オンライン化状況など幅広い指標を市区町村別に確認できます(出典: 自治体DXの取組に関するダッシュボード|デジタル庁)。
| ダッシュボード名 | 掲載主要データ |
|---|---|
| 電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード | 全国・都道府県の医療機関・薬局での導入率 |
| リフィル処方箋の認知率や利用状況に関するダッシュボード | 患者・医師・薬剤師の認知率 |
| 介護現場の生産性向上に関するダッシュボード | 全国・都道府県の生産性向上主要指標 |
| 校務DXの取組に関するダッシュボード | 全国・都道府県・市区町村の校務DX状況 |
| 高等学校入学者選抜事務手続のデジタル化に関するダッシュボード | 都道府県別デジタル化進捗 |
| 学校における働き方改革に関するダッシュボード | 教員の働き方改革指標(2025年11月公開) |
| ダッシュボード名 | 掲載主要データ |
|---|---|
| アナログ規制の見直し状況に関するダッシュボード | 法令約9,000条項の見直し状況 |
| 社会のデジタル化やデジタル行政サービスの意識調査の結果に関するダッシュボード | 市民のデジタル化意識・行政サービス満足度(n=10,000) |
上記の政策向けダッシュボードとは別に、ガバメントクラウド上で稼働する各自治体のシステム運用状況を確認するための「地方公共団体向けダッシュボード」も整備されています。これはGCAS(Government Cloud Assistant Service)経由でアクセスするもので、システムごとの稼働状況や各種KPIを自治体担当者が確認できます(出典: デジタル庁「地方公共団体のKPI運用に関する中間報告」2024年9月)。
2025年7月末時点でのマイナンバーカード保有枚数は約9,852万枚、人口に対する割合は79.2%に達しました(出典: 総務省「マイナンバーカードの保有状況」2025年12月)。令和3年3月末時点の28.7%から急速に普及が進んでいます。
xychart-beta
title "マイナンバーカード保有枚数の推移(万枚)"
x-axis ["R3.3末", "R4.3末", "R5.3末", "R6.3末", "R7.3末", "R7.7末"]
y-axis "保有枚数(万枚)" 0 --> 10500
bar [3590, 5483, 8440, 9216, 9737, 9852]
保有率79.2%という水準は「普及期から活用期への転換点」を意味します。自治体DX担当者にとっては、マイナンバーカードを活用したオンライン手続きや書かない窓口の導入を本格的に進める根拠データとなります。
自治体DXダッシュボードでは、全1,741市区町村の取組状況が以下の3領域で可視化されています。
flowchart TD
A["自治体DXダッシュボード<br>(総務省+デジタル庁)"] --> B["自治体DX<br>推進体制等"]
A --> C["自治体業務<br>のDX"]
A --> D["住民サービス<br>のDX"]
B --> E["CIO任命<br>AI/RPA導入<br>テレワーク"]
C --> F["行政手続<br>オンライン化"]
D --> G["マイナカード<br>26手続対応"]
このダッシュボードは総務省の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき整備されており、推進計画の対象期間(2021年1月〜2026年3月)における進捗モニタリングツールとして機能しています。
デジタル庁が管理する稼働中のシステム数は51システム、行政事業レビュー実施数は236件(2024年度)に達しています。政策ダッシュボード数は2025年3月末時点で13件でしたが、2026年3月の追加により現在は20種超となっています(出典: デジタル庁「概念・アウトライン資料」2025年4月)。
自治体DXダッシュボードでは、「市区町村別の各取組の実施状況」を年度別・自治体別に確認できます。類似規模の自治体と比較することで、自団体の取組の優先度を客観的に把握できます。
具体的には以下の手順が効果的です。
議会や首長向けの報告資料でデジタル庁のダッシュボードを引用することで、方針決定の根拠をデータで示せます。特に「都道府県を中心とした共同調達に関するダッシュボード」は、他の都道府県・市区町村の共同調達事例を把握できるため、コスト削減策の検討材料になります。
自治体のガバメントクラウド移行状況や標準化進捗については、GCInsightのダッシュボード(gcinsight.jp)でより詳細な自治体別データを確認することをお勧めします。
「社会のデジタル化やデジタル行政サービスの意識調査の結果に関するダッシュボード」では、デジタル庁が全国18〜79歳の男女1万人に実施した意識調査の結果を公開しています(2025年12月実施)。
「デジタル行政サービスを今後も利用したい」「窓口手続きよりデジタル行政サービスを利用したい」という住民意向のデータは、DX施策の住民説明会や議会答弁で説得力を持つ根拠として機能します。
デジタル庁は2026年3月31日、「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」正式版をリリースしました(出典: ダッシュボードデザインの実践ガイドブックとデザインテンプレート|デジタル庁)。このガイドブックはPower BI用デザインテンプレートとセットで提供されており、以下を含みます。
このガイドブックは、自治体が独自の業務ダッシュボード(窓口件数・オンライン化率・職員稼働状況など)を構築する際のリファレンスとして活用できます。政策効果の「見える化」は、EBPMアクションプラン(2025年4月閣議決定)でも政府全体の優先取組として位置付けられています(出典: 内閣府経済財政諮問会議特別部会「EBPMアクションプランにおける関係府省等の連携について」2025年4月)。
Japan Dashboardでは、内閣府が収集した経済・財政・人口と暮らしに関する統計データをデジタル庁が可視化しています。
具体的には、GDPの四半期別速報・年次推計に加え、一人当たり社会保障費・財政力指数・人口動態など地域差の大きいデータが横断的に参照できます。自治体の財政部門・企画部門が来年度計画や総合計画の改定時にエビデンスとして活用できるデータです(出典: Japan Dashboard一覧|デジタル庁)。
ガバメントクラウドへの移行を完了した自治体にとって、移行後のシステム監視体制の構築は重要課題です。デジタル庁が整備した「地方公共団体向けダッシュボード」(GCAS経由)では、以下の情報を確認できます。
共同利用方式を採用した自治体の場合、他の参加自治体とダッシュボードを共通参照するか、団体別に分割するかは個別の設計方針によります。ただし、ガバメントクラウドのKPI運用では「地方公共団体向けダッシュボード及び利用システムダッシュボードのどちらかを確認するか」を事前に設計することが推奨されています(出典: デジタル庁「地方公共団体におけるKPIの運用に関する中間報告」2024年9月)。
自治体のガバメントクラウド移行状況・コスト情報の詳細は GCInsightのコスト分析ページ で参照できます。
Q: デジタル庁のダッシュボードはどこから確認できますか?
A: すべての政策ダッシュボードは https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/ からアクセスできます。ログイン不要で、スマートフォンからも閲覧可能です。Japan Dashboardは https://www.digital.go.jp/resources/japandashboard/ が入口となります。
Q: 自治体DXダッシュボードのデータはどれくらいの頻度で更新されますか?
A: 自治体DXダッシュボードのデータは総務省が各自治体から収集し、定期的に更新されます。最新の更新日は各ダッシュボードページ内に表示されています。マイナンバーカードの普及と利活用に関するダッシュボードは週次更新です。自治体DXダッシュボードは年次更新が基本で、2024年7月12日が直近の更新です。
Q: 自団体のガバメントクラウド移行状況はダッシュボードで確認できますか?
A: 公開されている政策ダッシュボードにはガバメントクラウドの移行状況(自治体別)は掲載されていません。移行後の自団体のシステム稼働状況は、GCAS(Government Cloud Assistant Service)経由の「地方公共団体向けダッシュボード」で確認します。全国の自治体の移行進捗を比較したい場合は GCInsightのダッシュボード をご活用ください。
Q: デジタル庁のダッシュボードガイドブックは自治体でも使えますか?
A: はい、使えます。デジタル庁が公開した「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」(2026年3月31日正式版)はPower BI用テンプレートとセットで提供されており、政府機関に限らず自治体での独自ダッシュボード構築に活用できます。
Q: ダッシュボードのデータをCSVでダウンロードできますか?
A: 一部のダッシュボードではデータのCSVダウンロードが可能です。例えば、自治体DXの取組に関するダッシュボードでは「データテーブル(ZIP)」として構造化データが公開されています。他のダッシュボードについては各ページで提供状況を確認してください。
デジタル庁のダッシュボードは2026年3月の大幅拡充で実用性が大きく向上しました。自治体情報システム担当者・DX推進担当者が今日から活用できるポイントを整理します。
自治体のガバメントクラウド移行状況・標準化進捗・コスト比較データをより詳しく把握したい場合は、GCInsightの移行状況一覧 や コスト分析ページ もあわせて確認することをお勧めします。デジタル庁のダッシュボードと組み合わせることで、自団体の立ち位置を多角的に把握できます。
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