GC

GC Insight

ガバメントクラウド移行状況ダッシュボード

無料レポート(PDF)
ホームコラムレポートソース・出典

GC Insight

総務省・デジタル庁公表データに基づく移行状況の可視化サイト

無料レポート(PDF)データソース一覧
プライバシーポリシー利用規約・免責事項© 2026 GC Insight
  1. ホーム
  2. /コラム・解説
  3. /ガバメントクラウド AWS vs OCI 徹底比較——自治体担当者が知るべきコスト・実績・移行の現実
ガバメントクラウド AWS vs OCI 徹底比較——自治体担当者が知るべきコスト・実績・移行の現実
AWSOCIFinOpsコストクラウド比較ガバメントクラウド

ガバメントクラウド AWS vs OCI 徹底比較——自治体担当者が知るべきコスト・実績・移行の現実

ガバメントクラウドで97%のシェアを持つAWSと、コスト指数55・転送料月10TB無料のOCIを徹底比較。RKKCS・GCCのOCI採用事例を踏まえ、自治体が正しいCSP選定をするための判断軸を解説します。

2026-03-30GCInsight編集部
PDFダウンロード

この記事の中身をPDFで保存・印刷・配布できます。

ガバメントクラウドはAWSが97%——しかし「一択」ではない

GCInsightダッシュボードが集計するガバメントクラウド移行状況データによれば、2026年3月時点で標準準拠システムのCSP別稼働件数はAWS 1,452件(97%)、Azure 30件(2%)、GCP 10件、OCI 4件です。圧倒的なAWS優位は明白ですが、この数字がそのまま「AWSが最適解」を意味するわけではありません。

デジタル庁はガバメントクラウドに現在5つのCSPを採択しています(AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、さくらのクラウド)。このうちOCIは、コスト構造・転送料・オラクルDB互換性の面で際立った特性を持ちます。自治体情報システム担当者がCSP選定を適切に行うには、「実績シェア」ではなく「総所有コストと業務適合性」で判断する必要があります。

本記事では、GCInsightデータとデジタル庁・OCI公式資料をもとに、AWS vs OCIを5軸で比較します。


CSP選定の5軸比較:AWS vs OCI

1. コスト構造の全体像

コスト比較においてもっとも重要なのは、単純な「インスタンス料金」ではなく**転送料・ライセンス・サポート費用を含む総所有コスト(TCO)**です。

GCInsightが算出するコスト指数(AWS=100基準)では、OCIは指数55——同等スペックでAWSの約半分のコストです。この差を生む構造的要因が「データ転送料」にあります。

費用項目 AWS OCI
コスト指数(同等スペック比) 100(基準) 55
データ転送料(外部)無料枠 月100GBまで 月10TBまで
無料枠超過の単価(1GBあたり) 約12〜16円 約3.5円
オラクルDBライセンス持ち込み 別途調整 BYOLで割引適用
予約インスタンス割引 最大72%(3年) 最大36%(1年)〜
FinOps支援ツール Cost Explorer / Savings Plans OCI Cost Management
国内リージョン 大阪・東京 大阪・東京

住民基本台帳・税務・介護など自治体基幹業務は、住民数に比例したトランザクションと定期的な大量データ出力(法定帳票、CSV連携)が発生します。月間データ転送量が数TB規模になる自治体ほど、OCI転送料無料枠の効果が大きくなります。

2. 自治体向けパッケージベンダーの採用状況

CSP選定は「自治体が直接選ぶ」というより、パッケージベンダーがシステム基盤として選ぶ構造です。そのため、自治体が契約しているパッケージが対応しているCSPに必然的に誘導されます。

flowchart TD
    A["自治体\n(システム発注)"] --> B["パッケージベンダー選定"]
    B --> C["AWS対応ベンダー群\nTKC / LGWAN-ASP等"]
    B --> D["OCI採用ベンダー\nRKKCS / GCC"]
    C --> E["AWS\n1,452件 97%"]
    D --> F["OCI\n4件 現在拡大中"]

OCI陣営の代表格がRKKCS(琉球コムネット)とGCCです。

  • RKKCS: 総合行政システムのガバメントクラウド移行先にOCIを採用。日本オラクルと連携強化を発表(出典: PR TIMES, 2023年4月)。2025年度末の移行期限に向けて九州・沖縄を中心に展開
  • GCC: 自治体ERP「e-SUITE」の基盤にOCIを採用。住民記録・税務業務の20業務OCI対応を推進(出典: クラウド Watch, 2022年)

AWSが圧倒的シェアを持つのは、TKC・日立・富士通・NEC等の大手ベンダーがAWSを基盤として先行整備したためです。GCInsightのクラウド別ベンダー一覧ページでは、各CSPに対応するパッケージの最新リストを確認できます。

3. セキュリティ・コンプライアンス要件

ガバメントクラウドに採択されているCSPは、いずれもデジタル庁の厳格な技術要件とISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)認証を取得しています。この点ではAWS・OCI間に本質的な差はありません。

共通要件:

  • ISMAP認証取得済み
  • 国内リージョン(東京・大阪)でのデータ保管
  • LGWAN-ASP接続または専用線接続への対応
  • 自治体情報セキュリティポリシーガイドラインへの準拠

クラウド間接続(AWS-OCI間等のマルチクラウド構成)については、デジタル庁が整備したクラウド間ネットワークの費用を政府が負担する方針が示されています(出典: 内閣官房デジタル行財政改革会議資料, 2025年4月)。

4. 移行支援・SLAの実態

移行支援体制は両CSPで異なります。

AWSの強みは生態系の厚さです。AWSパートナー(APN)に参加する国内SIerが多く、支援リソースの調達が容易です。一方で、ベンダーロックインや「AWS前提」の設計が進みやすく、移行後のコスト最適化に習熟したFinOps人材の確保が課題になっています(出典: 日経クロステック, 2022年12月)。

OCIの強みはオラクルDB既存ユーザーへの互換性です。自治体が長年運用してきたオラクルDBをそのまま移行できるBYOL(Bring Your Own License)対応が、ライセンスコストの圧縮につながります。また、オラクル社が直接移行支援プログラムを提供しており、RKKCSのような専業パートナーとの連携体制も整備されています。

GCInsightのコスト効果ページでは、移行後の実際のコスト推移を自治体規模別に確認できます。

5. 2026年度以降の展望

デジタル庁が2025年12月に公示したガバメントクラウド令和8年度募集調達仕様書では、引き続き複数CSPの競争環境が維持されます。現在条件付き採択のさくらのクラウドが2026年度から本格参入すれば、国産クラウドという選択肢が加わります。

OCI陣営では、RKKCSが2025年度末移行期限を迎えた自治体の移行完了後、2026〜2027年度にかけて稼働件数を増加させる見込みです。現在4件のOCI稼働数は今後数十〜百件規模に拡大する可能性があります。


どちらを選ぶべきか——自治体規模と業務特性による判断軸

以下の判断フローを参考に、担当自治体の状況を整理してください。

AWSが適しているケース:

  • 現在契約しているパッケージベンダーがAWSのみ対応
  • 大手SIerのAWS支援体制を活用したい
  • 全国標準の設計パターン(多数実績)に準拠したい

OCIが適しているケース:

  • オラクルDBを長年運用しており、BYOLでライセンスコストを削減したい
  • 月間データ転送量が多く、転送料の差額が年間コストに大きく影響する
  • RKKCSまたはGCCのパッケージを導入済み・検討中
  • 総合的なTCO(3〜5年)でAWSより低コストの試算が出る

コスト試算は年間ベースではなく、移行費用・運用費用・移行後3〜5年の総所有コストで比較することが重要です。特にデータ転送料は、移行後に「想定外のコスト増」として顕在化しやすい費用項目です(出典: govcloud-cost-guide参照、ガバメントクラウドのコスト解説)。


まとめ

ガバメントクラウドのCSP選定において、AWSの97%シェアは「実績の安心感」を提供しますが、それはイコール「コスト最適解」ではありません。OCIはデータ転送料の優位性(月10TB無料・超過単価1/4)とオラクルDB互換性により、特定の自治体にとって有意なTCO削減の選択肢となります。

自治体情報システム担当者が取るべきアクションは以下の3点です。

  1. パッケージベンダーのCSP対応状況を確認する — 対応CSPが限定されている場合、選択肢は事実上決まる
  2. 月間データ転送量を試算する — 転送量が多いほどOCIの転送料無料枠が効く
  3. 3〜5年TCOで比較する — 移行費用・運用費用・ライセンスを含めた総合評価を行う

GCInsightでは、クラウド別の移行進捗・コスト効果データ・パッケージ一覧を継続的に更新しています。CSP選定の検討材料としてご活用ください。


参考文献・出典

本記事は以下の一次情報源をもとに執筆しています。

参考文献・出典

  1. デジタル庁 — ガバメントクラウド(2026-03-30 アクセス)
  2. Oracle Japan — 政府・自治体向けOracle Cloud Infrastructure(2026-03-30 アクセス)
  3. 内閣官房 — 移行後のシステム運用経費について(2026-03-30 アクセス)
📊

この記事のデータをインタラクティブに確認

クラウド別コスト比較データをインタラクティブに確認できます。

コスト効果分析ページを見る →

📖コスト・FinOps 関連コラム

コストFinOps

自治体クラウド移行費用の実態|運用コスト2〜4倍増の原因と対策を徹底解説

ガバメントクラウド移行後の運用経費が中核市平均2.3倍に増加。富山県14市町村の5年間164億円試算など具体的データで費用構造を解説し、補助金・FinOps対策を紹介します。

2026-03-30
ガバメントクラウドコスト

ガバメントクラウドのコストは本当に下がるのか?2026年度の実態と最適化戦略

ガバメントクラウド移行後の運用コストが平均2.3倍に膨らむ実態を、中核市市長会調査・デジタル庁FinOpsガイドのデータで解説。コスト増大の構造的原因と、自治体が取るべき最適化戦略をまとめます。

2026-03-30
ガバメントクラウドコスト

ガバメントクラウド移行後の運用経費を削減する実践ステップ——2.3倍増の現実とFinOps対策

ガバメントクラウド移行後の運用経費が平均2.3倍に増加している実態を解説し、デジタル庁公認のFinOpsガイドと見積チェックリストを活用した具体的な削減手順を自治体DX担当者向けに解説します。

2026-03-29
すべてのコラムを見る →
PDFダウンロード

この記事の中身をPDFで保存・印刷・配布できます。

← 記事一覧に戻るダッシュボードへ →